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ホテルと旅館、お仕事の違いは?

2024.04.01

宿泊業界への就職・転職を考えた時、さまざまな宿泊施設があると思いますが、大きな選択肢となるのが「ホテル」と「旅館」ですよね。この2つでどちらにしようか悩む人もいるかもしれません。そこで今回はホテルと旅館の仕事の違いをみていきましょう。

ホテルと旅館、施設としての境目はなくなってきている

仕事の違いの前に、まずはホテルと旅館の施設の違いについて確認しておきたいと思います。以前は、旅館業法で「ホテルは10室以上、1室の広さが9㎡以上、主に洋室」「旅館は5室以上、1室の広さが7㎡以上、主に和室」というように定められていました。

それが改正されたことで最低客室数の規制は完全撤廃され、近年では宿泊施設のスタイルの自由度が高まっています。

例えば、ホテルでも大浴場などを備えた施設がありますし、旅館でも洋室を備えていて素泊まり可能な宿も増えてきました。また施設の規模に関しても、ホテルか旅館かに関わらず小規模な施設から大規模な施設まで実にさまざまです。

このように施設としてホテルと旅館の違いはあいまいになっていて、規模感や客室のスタイルを見てもその違いはほとんどなくなってきていると言ってもいいかもしれません。

仕事の大きな違いは「食事の提供」と「お客さまとの距離感」

では、仕事の違いはどうなのでしょうか?

まず大前提として、施設の規模によって同じホテルや旅館であっても仕事の内容やその分担などは大きく変わります。その上で、一般的なホテルと旅館の仕事の違いをみていきます。

一般的なホテルと旅館で大きく変わる点として、食事の提供の有無があります。ホテルは素泊まりもしくは朝食付きを基本にするのに対して、旅館は2食付きを基本としているところが多くみられます。

この夕食の提供の有無は仕事内容に大きく影響してきます。旅館は夕食があることで、食材調達や調理関係の仕事のウエイトはグッと上がりますし、配膳も必要になります。特に部屋食であれば担当が部屋に付きっきりになるような密な接客が必要となります。

ホテルでも旅館でも接客に必要不可欠なのは会話力です。お客さまに周囲の観光スポットや天気、アクセスなど、幅広い情報を提供できるよう事前に知識を持っておくと会話がしやすくなります。旅館では部屋食の場面ではもちろん、客室への案内、お茶の用意、ふとんの上げ下ろしなどお客さまと接する機会が多く、その際にさまざまなお話をします。お客さまと接する機会が多く、相手に合わせた幅広い話題に対応することから、“雑談力”が求められます。一方でお客さまとの接点が旅館と比べて少ないホテルでの接客には、より“洞察力”が求められます。少ない接客の機会において、お客さまの求める事を瞬時に見極め臨機応変に対応するためです。

また旅館は日本独特の宿泊施設であることから、特徴的な役職があります。例えば、女将や仲居。和服や作務衣姿で日本のおもてなしをする様子はいかにも旅館ならではという雰囲気がします。また温泉旅館には、湯守と呼ばれる温泉を管理する専門の担当者がいる場合もあります。対してホテルにも特徴的な役職があります。例えば、ベルスタッフやバーテンダー。また、ハイクラスホテルに配置されていることが多いコンシェルジュは、お客さまのさまざまな要望に対応するワンランク上の接客スキルが求められる職種です。

お客さまの目的にあわせた雰囲気作りと接客も

それ以外に利用するお客さま側の目的の違いもあります。観光目的や出張のお客さまはどちらにも同じようにいらっしゃると思いますが、旅館の方がよりオフ感がありプライベートな時間を過ごしているお客さまが多いのではないでしょうか。

一般的にホテルでは、外出するのと同じような服装で身だしなみを整えてレストランへ行って食事をされると思います。非日常的な雰囲気でありながらもリラックスして食事をしていただく、バランスの取れた演出をすることが接客で求められます。それに対して旅館では、温泉などに入って浴衣に着替え、女性であればメイクも落として、よりくつろいだ雰囲気で食事を楽しむ方という方が多くいらっしゃいます。そのため、旅館ではよりくつろげる雰囲気作りや自然な接客が求められることが多くなります。

一般的なホテルと旅館の仕事の違い、いかがでしたか? 接客の仕事がメインとなるという点ではホテルも旅館も大きな違いはないかもしれません。しかし、そのアプローチの仕方はホテルなのか旅館なのか、どんな規模の施設なのかによって大きく変わってきそうです。もし宿泊業界への就職・転職を考えるなら、ぜひお客さまとどのような関わり方で働きたいのかを一度考えてみるといいかもしれません。

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